エンディングノートを書きましょう!
高齢化が進み、最近は終活(しゅうかつ)が盛んにおこなわれるようになってきました。
一言に終活といっても、①遺言、②成年後見、③家族信託、④死後事務委任など様々なものがあり、何から手を付けてよいかわからなといった声もよく聞きます。
そこで、私がおすすめしたいのが、まず「エンディングノート」を書いてみることです!
エンディングノートと聞くと、死をイメージしてしまい、良いイメージがわかない方もおられるかもしれません。
しかしエンディングノートは自分の人生を振り返り、今後の残された自分の人生を見つめ直すためにとても有効なツール(道具)なのです。
Ⅰ エンディングノートに書く内容
エンディングノートは民間の団体が作成しているものや市販のものまで様々あり、その内容も様々ですが概ね以下の内容を記載するものが多いです。
①個人的なプロフィール
ここには自身の基本情報、死後連絡をしてほしいキーパーソン、大切な人へ向けたメッセージなどを書きます。
②認知症や介護
ここには自身が認知症になった場合に財産の管理をどうするか、介護の希望、入所したい施設などを書きます。
③病気や医療
ここには自身の持病や常用している薬、延命治療の希望、臓器提供の意思表示などを書きます。
④葬式やお墓
ここには葬儀の希望(実施、宗派、会場など)、お墓や散骨の希望などを記載します。
⑤財産や負債
ここには自身の財産(不動産、預貯金、有価証券、保険、貸付金など)や負債(各種ローン、知人からの借り入れなど)を記載します。
最近ではデジタル資産といわれているホームページやSNSなどの処分をどうするか記載するケースが増えてきています。
また遺言を書いている場合、遺言の有無や依頼している専門家も記載します。
Ⅱ エンディングノートを書くメリット
①これまでの人生を振り返ることができる
前述のとおり、エンディングノートには様々なことを記載します。自身の生い立ちや学生時代のことから現在のことまでです。
これは自分史を作ることに似ています。
エンディングノートには個々人あてにメッセージを書くこともでき、今までお世話になった方々に感謝の気持ちを伝えるといった使い方もできます。
②今後の人生の指針ができる
エンディングノートには財産や負債などを記載します。今でもざっくりは把握できていたかもしれませんが、改めて書き出すことによって自身の財産についての認識が深まります。
今後使えるお金や、子供たちや家族に遺すお金や不動産をどうすべきかがはっきりし、エンディングノートを書くことによって、
今後の財産面での指針になるといえます。
③残される家族の負担を減らすことができる
自身の経験を振り返ってみても、家族が亡くなったときすべきことは盛りだくさんです。
葬式の手配、知人への連絡、各種手続きの解約など書ききれないほどたくさんあります。
残された家族はどうすればよいか途方にくれることが多々あります。それを回避するためにも自身の生前に自身の死後どのようにしてほしいか書き残しておくことによって、家族の負担を減らすことができるといえます。
④家族に想いを託すことができる
普段家族に感謝している方でも、言葉で伝えることは難しいものです。エンディングノートは家族あてに想いを伝える欄もあり、感謝の気持ちや自身の思いを伝えることができます。
⑤争続のリスクを減らすことができる
争続はどの家族にも起こりえます。
エンディングノートを書いておき、自身の気持ちを伝えることによって残された家族は「父(母)がこんな風に考えていたのならしょうがない」と思い、争続のリスクを減らすことができるといえます。
Ⅲ エンディングノートのデメリット
①法的拘束力がない
エンディングノートには法的な拘束力がありません。つまり、エンディングノートに「自宅不動産は長男に相続させると」記載してもその通りにはならないということです。
この点、遺言の場合は遺言に記載の通りに不動産や有価証券の名義を書き換える(所有権移転)することができますので、自身の意思が固まったら遺言を書くことがおすすめです。