令和3年度認定考査再現答案(解答)
受験直後に作成した再現答案です。
間違え多数でしょうが、ご容赦ください!
令和3年度認定考査 再現答案
令和3年9月12日
第1問
(1)賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物明渡請求権 1個
(2)被告は、原告に対し、甲建物を明け渡せ
との判決を求める。
(3)請求原因1
1 AはYに対し、令和2年4月1日、甲建物を賃料1か月15万円、賃貸期間を令和2年4月1日から令和3年9月30日までとして賃貸するとの合意をした。
2 AはYに対して、令和2年4月2日、1の賃貸借契約に基づき、甲建物を引き渡した。
3 Aは令和2年10月1日死亡した。
4 XはAの子である。
5 XはYに対し、令和3年3月3日到達の内容証明郵便で、1の賃貸借契約を更新しないとの通知をした。
6 令和3年9月末日は経過した。
7 更新しないことの正当事由の評価根拠事実
(1)甲建物は老朽化のため、倒壊のおそれがあり、耐震工事を行うには多額の費用を要する。
(2)Xの妻の母は重度の要介護状態にあり、同居するためには甲建物を取り壊して、バリアフリーの住宅を新築する必要がある。
請求原因2
1 請求原因1の1,2,3,4と同じ。
2 YはBに対し、令和3年12月1日、甲建物を賃料1か月10万円で賃貸するとの合意をした。
3 YはBに対して、同日、2の契約に基づき甲建物を引渡し、同日以降Bは甲建物を使用している。
4 XはBに対して、令和4年3月3日到達の内容証明郵便で、請求原因1の事実1の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
(4)Ⅰ正当事由の評価障害事実(請求原因1に対し)
1甲建物の耐震工事を行うために多額の費用がかかる事実はないし、そもそもXは工事費用の見積もりすらしていない。
2Yは甲建物でレストランを経営しているが、甲建物から退去するとなると、近辺にレストランを経営できるような物件はなく、売り上げが大幅に減少してしまう。
Ⅱ転貸に対する事前の承諾の抗弁(請求原因2に対し)
AはYに対し、請求原因1の事実1の賃貸借契約を締結する際、「家賃さえ払ってもらえるのであれば、、甲建物を他人に貸してもらっても構わない。」と述べ、事前に承諾を与えた。
Ⅲ非背信性の評価根拠事実(請求原因2に対し)
1BはYの妻のおいであり、長年一緒にレストランで働いている。
2レストランの管理業務はBに任せているが、レストランの経営はYが行っており、名称も使用状況にも変更はない。
(5)非背信性の評価障害事実(抗弁Ⅲに対し)
1 令和3年12月以降、Yはほとんど甲建物に姿を見せず、Bがレストランの経営を取り仕切っている。
2 Bは甲建物前の路上に大きな立て看板を設置し、周辺住民から苦情が寄せられている。
(6)ア 140
イ できる
ウ 建物の明渡請求をする場合、訴額は目的物の価額(固定資産評価額)の2分の1となる。本問では、固定資産評価額は250万円であり、その2分の1の125万円が訴額となるからである。
(7)① 占有移転禁止の仮処分を申し立てるべきである。
② 所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求権
③ できない
保全命令手続きは、迅速性の要求される手続であり、その中で文書送付嘱託をすることは民事保全法上認められていないから。
第2問
(1)1 AはYに対し、令和3年7月1日、甲絵画を代金15万円で売った。
2 AはYに対して、同日、1の契約に基づき甲絵画を引き渡した。
(2) 即時取得は民法上、「取引行為によって」「平穏」「公然」「占有」を始めた、「善意無過失」が要件とされている。しかし、「平穏」「公然」「善意無過失」は推定が働くので、即時取得を主張する者が立証する必要はない。
(3)できない。
民事訴訟法上、裁判所が職権で証人尋問をすることは認められていないため。
第3問
(1)できる。
簡裁訴訟代理等関係業務は、司法書士が行う登記などの業務のように正当な理由がなくても、依頼を拒むことができるため。
(2)できない。
簡裁訴訟代理等関係業務において、相手方から協議を受けて賛助した事件や協議を受けて信頼関係が形成された事件に関しては依頼を受けることができない。本問でPはXに対し具体的に教示しているので、Yからの相談に応じることができない。
(受験後感想など)
①典型論点で出題が本命予想されていた分野からの出題であり、また特別研修でも多くの時間を割いて扱った問題だったので、多くの受験生はそれなりの答案は作成できたのではないか。合格率は高くなると予想。
②問題量は例年より若干増えたが、司法書士試験のように時間が足りなくなるといったことはないと思われる。
時間的には余裕があるので、令和4年度以降はさらに長文化や設問量の増加があってもおかしくない。
③要件事実、倫理業務範囲は特別研修で使用したテキストからの出題がほとんどであった。令和4年度以降に受験される方は、特別研修で使用したテキストの復習は必須と思われる。