【2025年最新】後払い決済サービスの問題点とは?|専門家が警鐘を鳴らすリスクと課題

後払い決済サービスの問題点とは?

更新日:2025年7月|執筆:司法書士杉本裕志

はじめに|急増する「後払い決済」の落とし穴と、いま私たちに迫る社会的リスク

ここ数年、「あと払いペイディ」や「バンドルカード」「メルペイスマート払い」など、後払い決済サービスが急速に拡大しています。
2025年現在、日本では物価の上昇やエネルギー費の高騰、賃金の伸び悩みといった経済的不安が続く中で、「今すぐ欲しいものを手に入れられる手段」として後払い決済サービスの利用者が急増。
令和7年7月3日の「熊日新聞」でも後払い決済サービスの相談が急増しているとの記事が掲載されていました。
スマホ一つで決済が完了する利便性と、「クレジットカードが不要」「審査が緩い」といった手軽さから、特に若年層や学生を中心に利用が広がっています
一方で、その裏側では「支払い遅延の増加」「多重債務化」「回収トラブル」といった深刻な社会問題が顕在化しつつあります。

近年、消費者庁や金融庁でもこの問題に対する警戒感を強めており、2024年には「フィンテック型決済サービスのガイドライン見直し」が議論されました。特に注目されているのが、信用情報に載らない借金が積み重なり、債務意識がないまま生活を圧迫していく「見えない借金」の構造です。

本記事では、後払い決済サービスの仕組みや便利さに隠れたリスク、司法書士として現場で見えているトラブル事例、そして今後必要とされる対策まで、専門家の視点から分かりやすく解説します。
“使ったら終わり”ではない「後払い」の本当の怖さについて、ぜひ今一度考えてみてください。

1. 後払い決済とは?仕組みをわかりやすく丁寧に解説

「後払い決済」とは、商品やサービスを先に受け取り、その代金を後日まとめて支払う仕組みです。
コンビニやオンラインショッピングなど、私たちの生活に身近な場所で日常的に利用されています。

クレジットカードと似た性質を持ちながらも、後払い決済はより手軽で、申し込み時に厳しい審査がないのが特徴です。スマートフォンのアプリやECサイト上で簡単に利用できるため、特に若年層やカードを持たない人たちの間で急速に普及しています。

● 代表的な後払いサービスの例

  • あと払いペイディ(Paidy)
  • メルペイスマート払い
  • バンドルカード
  • atone(アトネ)
  • NP後払い(コンビニ払込票)

令和7年7月執筆時点

● 具体的な利用の流れ(アプリ型の場合)

  1. 商品やサービスを購入時に「後払い」を選択
  2. 購入者の携帯番号やメールアドレスを入力するだけで完了
  3. 月末などにまとめて請求され、銀行振込・コンビニ払い・口座引き落としなどで支払う

このように、購入時点では現金のやり取りが一切なく、「とりあえず買える」という利便性が支持されています。
しかしその反面、「使っている感覚が薄い」「いくら使っているのか自覚しにくい」という問題も指摘されています。

● クレジットカードとの違い

項目 後払い決済 クレジットカード
審査 なし or 簡易的 信用情報に基づく厳格な審査あり
利用可能年齢 18歳以上(サービスによる) 基本的に18歳以上
支払方法 コンビニ・銀行・口座振替など 主に口座引き落とし
信用情報への登録 基本的に登録なし(例外あり) すべて信用情報に記録される

特に近年では、アプリ連携によって「購入から支払いまでが完全にスマホで完結する」タイプの後払いが主流となりつつあります。
これにより、金銭感覚が希薄になる傾向が強まり、「後で払えばいい」という無自覚な借金状態に陥る危険性が高まっています。

このように後払い決済は、便利であるがゆえに使いすぎてしまうリスクも高く、正しく仕組みを理解して利用することが大切です。

2. 現在問題視されている主なリスクとは?|“便利さ”の裏に潜む危険

後払い決済サービスは「すぐに支払わなくていい」という気軽さから、多くの人にとって魅力的な支払い手段となっています。
しかし、その利便性の裏側には、利用者本人が気づかぬうちに深刻なリスクに巻き込まれてしまう構造が潜んでいます。特に以下の4つのリスクは、すでに社会問題として顕在化しており、専門家の間でも強い警戒が呼びかけられています。

(1)支払い遅延・多重債務の温床に

後払い決済は、原則として審査が緩く、誰でも簡単に使えるため、収入や返済能力に見合わない利用が増えています。
特に10代後半〜30代前半の若年層では、「月末にまとめて払えばいい」と考えて複数のサービスを同時に利用し、気づけば支払いが追いつかず、延滞や滞納を繰り返してしまうケースが急増しています。

2024年〜2025年にかけての物価高騰・光熱費上昇といった経済環境の悪化により、後払いの延滞相談は司法書士・弁護士への相談件数でも増加傾向が続いています。

(2)“借金”という意識の欠如

クレジットカードであれば「借金をして買い物をしている」という自覚がありますが、後払い決済ではこの“借金意識”が非常に薄くなりがちです。
中には、後払いサービスの利用履歴を「ただの便利な支払い手段」として捉え、返済義務があることすら十分に理解していない利用者もいます。

特にアプリ決済型では、利用通知や請求明細が紙ではなくスマホアプリ内にとどまるため、支払い日や金額の把握が曖昧になり、「気づいたら延滞していた」という事例が後を絶ちません。

(3)信用情報に反映されない“見えない債務”

クレジットカードやローンとは異なり、後払い決済の多くはCICやJICCといった信用情報機関への情報登録が行われません(※一部登録されるサービスもあり)。
つまり、利用履歴や残高が「社会的に記録されない借金」として扱われ、本人も家族も第三者も、その債務実態を把握することができません。

このような“見えない債務”が膨らんで、本人が初めて問題を自覚するのは、督促状が届いたり、滞納による差し押さえが迫ったりしたタイミングというケースも珍しくありません。

(4)督促・回収の実態がブラックボックス化

後払い決済サービスが延滞された場合、債権回収は外部の債権管理会社や弁護士事務所に委託されることがあります。その際、強い言葉での督促メールやSMS、昼夜を問わない電話連絡が行われ、精神的な負担が過度になる例も報告されています。

実際に2025年春には、ある大手後払いサービスの督促が「脅しに近い」としてSNSで拡散され、消費者庁が調査に乗り出すという事案も起きました。
このように、回収フローのブラックボックス化も後払い決済の大きな課題です。

3. 法的な整備は追いついているのか?|制度の“すき間”に潜む盲点

後払い決済は、現代のフィンテック(金融×テクノロジー)分野を代表するサービスの一つですが、その急速な進化に対して、現行の法律や規制が十分に追いついていないというのが実情です。

● 貸金業法の“外側”にある存在

クレジットカード会社や消費者金融は「貸金業法」の厳格な規制のもとで運営されています。しかし、後払い決済の多くは「商品購入に付随する決済」と見なされ、貸金業ではなく、割賦販売法や資金決済法の範疇とされているため、上限金利や厳しい与信審査が義務付けられていません。

これは一見すると「利用者に優しい」と思われがちですが、実際には過剰利用や支払い能力を超える債務の温床になっており、見過ごせない構造的問題です。

● 金融庁もガイドライン見直しを検討中

金融庁や消費者庁も2024年以降、こうした状況に懸念を示し、「後払い型決済サービスに関する法的整理・ガイドラインの見直し」を進めています。
しかしながら、現時点では明確な法改正には至っておらず、消費者保護と業界の利便性のバランスにおいて難航している状況です。

新しい金融サービスには革新性だけでなく透明性・安全性・責任ある設計が求められる時代になってきました。

4. 消費者が陥りやすい心理的な罠とは?|「払える気がする」が命取り

後払い決済は、物理的なお金を支払う必要がないため、支払い行為そのものの“痛み”が少ないという特徴があります。これが便利さの一方で、消費者心理に大きな落とし穴を生んでいます。

● 「今はお金がなくても大丈夫」という油断

多くの後払いサービスは、「今すぐ払わなくてもいい」という心理を刺激します。たとえば、SNSで流れてきた商品を思わずポチっと購入、請求は翌月……。その積み重ねが1万円、2万円、気づけば5万円を超えてしまうことも。

● 若年層ほど金銭感覚が麻痺しやすい

クレジットカードを持てない10代後半や大学生が主な利用者層となっており、生活費や仕送りの範囲内でやりくりする中で、「とりあえず今月は後払いにしよう」と利用を繰り返してしまう傾向があります。
また、支払い通知がスマホアプリだけで完結するため、親にもバレずに使えるという点が“隠れ借金”を助長しています。

● 「分割感覚」で積み重なる請求

1件あたりの金額が少なくても、複数サービスを併用していくうちに、毎月の返済額が膨れ上がります。これはリボ払いと似た構造とも言われており、本人が「いくら借金をしているか」を把握できないまま、“金銭的自転車操業”に陥ってしまうケースも少なくありません。

5. 司法書士として見えてくる深刻な事例|“後払い破産”の現実

私たち司法書士が現場で直面している中でも、後払い決済に関する相談は確実に増えています。
「借金」という意識がないまま利用を続け、ある日突然、複数の事業者から一斉に督促が届き、はじめて問題に気づく――。そんな方が増えているのです。

● 実際に寄せられた相談事例

  • ケース①|20代会社員・後払い5社で月額請求が10万円超
    スマホでの洋服・飲食・デジタルコンテンツなどに後払いを使い続け、気づけば5社から毎月10万円以上の請求に。口座残高が足りず支払い不能に。クレジットカードのリボ払いも併用しており、生活が完全に自転車操業化。任意整理を検討し来所。
  • ケース②|大学生・親にバレずに後払いを繰り返し督促状が実家へ
    大学生の長男が後払いアプリでゲーム課金や買い物を繰り返し、支払いが滞る。請求はアプリ上だけだったが、延滞で実家に督促状が郵送されて発覚。親が代わりに相談に来所。子どもが「借金」という意識を持っておらず、家族で支払い方針を協議。
  • ケース③|主婦・複数の後払いを利用し支出管理が崩壊
    小学生の子を持つ主婦が日用品・食品の購入に「あと払いペイディ」「メルペイ」などを利用。夫に内緒で使っていたが、支払いが重なり残高不足に。携帯が止まりそうになり相談。家計簿をつけていたが、後払い分を“支出”に計上していなかった。
  • ケース④|一人暮らしの高齢者・スマホ操作で誤って後払い設定に
    70代の男性が、通販サイトで購入時に意図せず後払いを選択。月に数万円の請求が続き、いつ支払っていたか分からないと困惑。スマホアプリ内での操作が難しく、家族も把握できず滞納へ。最終的に保証会社からの通知で相談に至る。
  • ケース⑤|非正規雇用・後払いとカードローンの併用で生活破綻
    派遣社員の女性が収入の不安定さから後払いを頼りにし、支払いに追われる日々。月末に足りない分をカードローンで補填する生活が1年続いた結果、利息が膨れ上がり支払不能に。精神的にも追い込まれ、債務整理と生活再建の相談に来所。

特に問題となるのは、カードローンや消費者金融と併用しているケースです。後払いで返済が足りず、別の借金で支払いを補うという“多重債務スパイラル”に陥り、最終的には任意整理や自己破産に至る例も決して珍しくありません。

また、保証人がいないからこそ責任をすべて一人で負うことになり、心理的・社会的なダメージも非常に大きいという特徴があります。

後払い決済は、仕組み上は「少額・短期」でも、積み重ねれば法的債務と同じ責任が生じます。安易な利用は、人生設計を大きく狂わせてしまう危険があることを、私たち専門家は現場から強く訴えています。

6. 今後求められる対策とは?|制度・教育・意識改革の三本柱

後払い決済サービスが生活に根づきつつある今、社会全体として“利便性の裏にあるリスク”をしっかりと見つめ、制度と仕組みを整えていく必要があります。特に以下のような三つの視点からの対策が重要です。

(1)制度面の整備|業者への法的規制の導入

まず、後払い決済サービスに対して、貸金業法と同等の厳格なルールや情報開示の義務を課す制度整備が急務です。利用上限の設定、信用情報への登録義務化、明確な金利表示など、利用者保護のための法的根拠を整える必要があります。

また、督促や回収業務に関するガイドラインの明文化と監督機関の設置も検討されるべきです。過剰な取り立てや違法行為を未然に防ぐため、“業界の透明性”を高めることが求められます。

(2)教育面の充実|若年層への金銭教育の強化

後払いを利用する多くの若者が、「これは借金だ」と気づかないままトラブルに巻き込まれているのは、日本における“お金の教育”の不足に起因しています。
中学・高校段階から、キャッシュレス決済や借入の仕組み、利息、返済の重要性についての教育を義務化し、将来的な自己破産や債務整理を未然に防ぐべきです。

(3)個人の意識改革|「自分は大丈夫」の思い込みを捨てる

制度と教育が整っても、最後に鍵となるのは利用者一人ひとりの意識です。
「後で払えばいいから大丈夫」「今だけなら平気」という安易な考えを見直し、“見えない借金”をきちんと家計に組み込む習慣を持つことが大切です。
毎月の支出を紙に書き出す・アプリで記録する・家族と共有するといった行動は、借金体質からの脱却につながります。

さらに、困ったときは一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが、最も効果的なリスク回避策です。

まとめ|“便利なツール”を“賢く使う力”が問われる時代

後払い決済は、私たちの生活を一層便利にする存在です。しかし、その便利さはときに、気づかぬうちにあなたの生活基盤を蝕むリスクにもなり得ます。

特に、経済的に不安定な若年層や一人暮らしの高齢者にとって、後払い決済の“見えづらい債務”は深刻な問題を引き起こす可能性があります。

司法書士として私たちは、後払いによる債務トラブルに関する相談を日々受けています。
放置すればするほど選択肢は狭まり、精神的な負担も増します。「これって危ないかも…?」と思ったら、すぐにご相談ください。

正しい知識と専門家のサポートを得ることで、後払い決済は「賢く使えば便利な道具」へと変わります。
自分と家族を守るために、いま一度、ご自身の支払い状況を見直してみませんか?