個人情報漏えいが相次いでいます。詐欺被害に十分ご注意ください
最近、企業や各種サービスにおいて、個人情報が外部に漏えいしたというニュースを目にする機会が増えています。
氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日など、私たちが普段何気なく登録している情報が、第三者に知られてしまう可能性があります。
個人情報が漏えいしたというニュースを聞いても、「自分には直接関係ない」「名前や電話番号が知られたくらいなら大丈夫だろう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私は、このような状況を非常に心配しています。
なぜなら、漏えいした個人情報が、特殊詐欺や投資詐欺、フィッシング詐欺などの犯罪に悪用されるおそれがあるからです。
そして、さらに心配なのは、詐欺被害はこれから発生するかもしれないという話ではなく、すでに全国各地で多くの被害が発生しているということです。
実際、私自身にも、警察官を名乗る人物から詐欺と思われる電話が、これまでに複数回かかってきています。
司法書士という仕事柄、日頃から法律問題や詐欺に関する情報に接する機会がありますが、それでも実際にこのような電話を受けると、詐欺がいかに身近な犯罪になっているのかを実感します。
今回は、個人情報漏えいがなぜ危険なのか、どのような詐欺に注意すべきなのか、そして大切な財産を守るために何ができるのかについて、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。
1.個人情報が漏えいすると、どのような危険があるのでしょうか?
個人情報が漏えいしたからといって、必ず詐欺被害に遭うわけではありません。
しかし、漏えいした情報が悪意のある人物に渡った場合、その情報を利用して、より巧妙な詐欺が行われる可能性があります。
例えば、詐欺を行う人物が、あなたの氏名、住所、電話番号を知っていたとします。
その人物から突然電話があり、次のように言われたらどうでしょうか?
「〇〇様でいらっしゃいますね。〇〇市にお住まいの方ですよね。実は、あなたの銀行口座が犯罪に利用されていることが分かりました」
自分の名前や住所を正確に言われると、相手の話を信用してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、相手が自分の個人情報を知っていることと、その人物が本当に警察官や金融機関の職員であることは、まったく別の問題です。
個人情報を悪用すれば、あたかも正式な機関から連絡しているかのように装うことも可能になります。
また、利用している通販サイトや金融機関の情報が知られていれば、そのサービスを装った偽メールやSMSを送ることも考えられます。
このように、個人情報の漏えいは、それ自体の問題だけでなく、新たな詐欺被害につながる可能性があるという点でも注意が必要なのです。
2.私自身にも、警察官を名乗る詐欺電話が複数回かかってきました
今回、特にお伝えしたいのが、警察官を名乗る詐欺電話についてです。
実は、私自身にも、これまでに複数回、警察官を名乗る人物から詐欺と思われる電話がかかってきています。
もちろん、電話がかかってきたというだけで、個人情報がどこかから漏えいしたと断定できるわけではありません。
しかし、実際にこのような電話が繰り返しかかってくると、詐欺が決して遠い世界の出来事ではないことを強く感じます。
警察官を装う詐欺では、例えば次のような言葉が使われることがあります。
- 「あなたの銀行口座が犯罪に利用されています」
- 「あなたの名前が犯罪の捜査で浮上しています」
- 「あなたに逮捕状が出ています」
- 「捜査に協力していただく必要があります」
- 「口座の資金を確認するため、お金を移動してください」
- 「このことは家族にも話さないでください」
このような話を突然聞かされれば、誰でも驚いてしまうと思います。
特に、「逮捕」「犯罪」「捜査」などの言葉を使われると、身に覚えがなくても不安になってしまうかもしれません。
詐欺を行う者は、まさにその心理を利用します。
相手を不安にさせ、冷静に考える余裕をなくし、言われるがままに行動させようとするのです。
警察手帳や逮捕状を見せられても信用してはいけません
最近では、LINEなどのビデオ通話を利用し、警察官を装った人物が警察手帳や逮捕状のようなものを画面に映して見せる手口もあります。
しかし、画面越しに見せられた警察手帳や逮捕状が、本物であるとは限りません。
また、電話番号の表示についても、実際の警察署の番号に見せかける偽装が行われる場合があります。
つまり、電話番号が警察署の番号に見えることや、警察手帳を見せられたことだけで、相手を信用してはいけないということです。
警察官を名乗る人物から不審な電話があった場合は、いったん電話を切り、自分で調べた警察署の電話番号にかけ直して確認してください。
なお、警察官が捜査を理由として、指定した銀行口座へお金を振り込ませることはありません。
3.警察官を装う詐欺以外にも、さまざまな手口があります
詐欺の手口は、警察官を装うものだけではありません。
最近では、電話、メール、SMS、SNSなど、さまざまな方法を使って私たちに近づいてきます。
代表的な手口をいくつかご紹介します。
① 銀行やクレジットカード会社を装う詐欺
銀行やクレジットカード会社を名乗り、「不正利用が確認されました」「口座が凍結されます」「本人確認が必要です」などと連絡してくる手口です。
メールやSMSに記載されたURLを開くと、本物そっくりの偽サイトが表示され、口座番号やパスワード、暗証番号などを入力させられることがあります。
このような手口は、一般にフィッシング詐欺と呼ばれています。
特に注意したいのは、偽サイトが非常によくできている場合があることです。
見た目だけで本物かどうかを判断することは難しいため、金融機関に関する手続きは、公式アプリや自分で確認した公式サイトから行うようにしましょう。
② 市役所などの職員を装う還付金詐欺
市役所や年金事務所などの職員を装い、「医療費の還付金があります」「保険料の払い戻しがあります」などと電話をかけてくる手口です。
その後、ATMへ行くように指示し、言葉巧みに操作させることで、犯人側の口座に送金させようとします。
還付金があると言われると、つい話を聞いてしまうかもしれません。
しかし、ATMを操作して還付金を受け取ることはできません。
「還付金」「ATM」という言葉が同時に出てきた場合は、特に注意してください。
③ SNSを利用した投資詐欺
近年、特に注意が必要なのが、SNSを利用した投資詐欺です。
インターネット広告やSNSで、有名な投資家や経済評論家などを装い、投資グループへの参加を勧誘することがあります。
最初は少額の投資から始めさせ、利益が出ているように見せかけたうえで、さらに大きな金額を振り込ませる手口もあります。
そして、いざ出金しようとすると、「税金が必要」「手数料を先に支払ってほしい」などと言われ、結局お金を引き出せなくなることがあります。
投資には必ずリスクがあります。
「必ず儲かる」「元本保証で高い利益が得られる」といった説明には、十分注意する必要があります。
④ 恋愛感情を利用するロマンス詐欺
SNSやマッチングアプリなどで知り合った相手が、恋愛感情や親近感を利用して金銭をだまし取る手口です。
最初は日常的なやり取りを重ねて信頼関係を築き、その後、投資話を持ちかけたり、急にお金が必要になったなどと説明して送金を求めたりします。
直接会ったことのない相手から金銭を要求された場合には、慎重に判断することが大切です。
⑤ 宅配業者や通販サイトを装う詐欺
「荷物をお届けできませんでした」「お支払い方法に問題があります」などのSMSやメールが届くことがあります。
普段から通販を利用している方であれば、つい本物の連絡だと思ってしまうかもしれません。
しかし、記載されたURLを開くと、偽サイトに誘導され、個人情報やクレジットカード情報を盗み取られる可能性があります。
配送状況や注文履歴は、必ず公式アプリや公式サイトから確認するようにしましょう。
⑥ 家族や親族を装う詐欺
昔からある手口ですが、現在でも注意が必要なのが、家族や親族を装って金銭を要求する詐欺です。
「携帯電話の番号が変わった」「仕事で失敗した」「急いでお金が必要になった」などと説明し、現金の受渡しや振込みを求めることがあります。
家族の名前や勤務先を知っている場合でも、必ず以前から知っている電話番号などにかけ直し、本人に確認してください。
4.なぜ詐欺にだまされてしまうのでしょうか?
詐欺のニュースを見ると、「どうしてそんな話を信用してしまうのだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、詐欺を行う者は、相手をだますためにさまざまな工夫をしています。
特に多いのが、次のような心理を利用する方法です。
不安をあおる
「逮捕される」「口座が使えなくなる」「犯罪に巻き込まれている」などと説明し、相手を不安にさせます。
急がせる
「今日中に手続きしなければならない」「今すぐ振り込んでほしい」などと伝え、冷静に考える時間を与えません。
権威を利用する
警察官、裁判所の職員、銀行員、市役所の職員などを装い、相手を信用させようとします。
利益を期待させる
「必ず儲かる」「特別な投資情報がある」「高額な利益が得られる」などと説明し、お金を振り込ませようとします。
このように、詐欺は人間の心理を巧みに利用する犯罪です。
決して高齢者だけが被害に遭うものではありません。
年齢や職業に関係なく、誰もが被害者になる可能性があるということを忘れないでいただきたいと思います。
5.個人情報が漏えいしたという連絡が届いたら、どうすればよいのでしょうか?
利用している企業などから「個人情報が漏えいした可能性があります」という連絡が届いた場合、まずは慌てずに内容を確認してください。
ただし、その連絡自体が偽物である可能性もあります。
メールに記載されたURLをすぐに開くのではなく、企業の公式サイトなどで実際に情報漏えいが公表されているか確認することが大切です。
そのうえで、次のような対策を検討しましょう。
- どのような個人情報が漏えいしたのか確認する。
- パスワードが漏えいした可能性があれば、速やかに変更する。
- 同じパスワードを他のサービスでも使っている場合は、それらも変更する。
- 多要素認証を設定する。
- 金融機関やクレジットカードの利用明細を確認する。
- 不審な電話やメール、SMSに注意する。
特に、漏えいした情報の中に金融機関の情報やクレジットカード情報が含まれている場合には、必要に応じて金融機関やカード会社に相談してください。
また、個人情報漏えいを口実にして、「補償金を受け取るために手続きが必要」「本人確認のために口座情報を入力してください」などと連絡してくる詐欺にも注意が必要です。
6.大切な財産を守るために、日頃からできる対策
詐欺被害を完全に防ぐことは簡単ではありませんが、日頃から注意することで、被害に遭う危険性を減らすことはできます。
① 知らない電話番号には慎重に対応する
見覚えのない番号や海外からの電話には、特に注意してください。
必要であれば留守番電話を活用し、相手の用件を確認してから折り返す方法も有効です。
② 電話でお金の話が出たら、いったん切る
警察官や銀行員を名乗る人物から電話があり、お金の振込みや口座の移動を求められた場合には、まず電話を切ってください。
その後、自分で調べた正式な連絡先に確認しましょう。
③ 暗証番号や認証コードを教えない
電話やメールで暗証番号、パスワード、ワンタイムパスワードなどを求められても、安易に伝えてはいけません。
これらの情報を第三者に知られると、不正送金などにつながる危険性があります。
④ 一人で判断せず、誰かに相談する
突然、大きなお金を動かすように言われた場合には、必ず家族や信頼できる人に相談してください。
詐欺を行う者は、「誰にも話さないでください」と口止めすることがあります。
そのような言葉が出てきた場合には、むしろ詐欺を疑う必要があります。
⑤ 家族で詐欺の情報を共有する
離れて暮らす親や祖父母がいらっしゃる場合には、最近の詐欺の手口について話しておくことをおすすめします。
例えば、家族の間で「お金に関する電話があった場合は、必ず一度相談する」というルールを決めておくことも有効です。
日頃から話し合っておくことで、いざというときに冷静に対応しやすくなります。
7.万が一、詐欺に遭ってしまった場合は、すぐに相談してください
もし詐欺に遭った可能性がある場合には、できるだけ早く対応することが重要です。
銀行振込をしてしまった場合には、直ちに金融機関に連絡し、事情を説明してください。
振込先口座の状況などによっては、振り込め詐欺救済法に基づく被害回復の手続きが利用できる場合もあります。
ただし、被害金が必ず戻ってくるわけではありません。
また、警察への相談や被害申告も重要です。
相談先としては、次のような窓口があります。
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188
- 緊急の場合:110
相手とのメールやLINEのやり取り、振込明細、電話番号、振込先口座などの情報は、できる限り保存しておきましょう。
また、詐欺被害に遭った方に対して、「被害金を取り戻せる」などと持ちかけ、さらに金銭を要求する二次被害にも注意してください。
8.警察には、詐欺犯罪の取締りをさらに強化していただきたいと思います
ここからは、私個人の思いも少し書かせていただきます。
私自身、警察官を名乗る詐欺と思われる電話を複数回受けたこともあり、現在の詐欺の状況について、非常に強い危機感を持っています。
詐欺のニュースを見ない日はないと言ってもよいほど、さまざまな手口による被害が報じられています。
被害に遭われた方の中には、長年働いて蓄えた預貯金や、老後の生活のために準備していた資金を失ってしまった方もいらっしゃると思います。また、借金をして支払ったケースも多いと思います。
そのような財産は、簡単に取り戻せるものではありません。
また、金銭的な損失だけでなく、精神的なショックや、その後の生活への不安も非常に大きいはずです。
私は、このような犯罪を本当に許し難いものだと感じています。
もちろん、警察の皆様も日々、詐欺事件の捜査や犯人の摘発、被害防止のために尽力されていることと思います。
しかし、これだけ多くの詐欺が発生し、しかも手口が巧妙化している現状を考えると、警察には、詐欺犯罪の取締りにこれまで以上に本腰を入れて取り組んでいただきたいと強く思います。
特に、組織的な詐欺については、実際に電話をかけたり、お金を受け取ったりする人物だけでなく、その背後で犯罪を指示している人物や、組織の中心にいる人物まで徹底的に捜査していただきたいと思います。
また、詐欺に利用される銀行口座や通信手段、犯罪によって得られた資金の流れについても、金融機関や通信事業者などと連携し、対策をさらに強化していただきたいところです。
もちろん、私たち一人ひとりが詐欺の手口を知り、注意することは大切です。
しかし、詐欺を防ぐ責任を被害者側の注意だけに求めることには限界があります。
どれだけ注意していても、巧妙な手口によってだまされてしまうことはあり得ます。
だからこそ、詐欺を行う者が犯罪を続けられない環境をつくること、そして詐欺犯罪そのものを減らしていくことが重要だと思います。
安心して電話に出られること。
安心してインターネットを利用できること。
長年かけて蓄えた財産を、安心して守ることができること。
そのような当たり前の生活が脅かされない社会であってほしいと願っています。
9.まとめ|「自分は大丈夫」と思わず、十分に注意しましょう
最近の個人情報漏えいに関するニュースを見るたびに、漏えいした情報が新たな詐欺に利用されるのではないかと心配になります。
そして、実際に私自身にも警察官を名乗る詐欺と思われる電話が複数回かかってきていることから、詐欺は誰にとっても身近な問題になっていると感じています。
詐欺の手口は巧妙化しており、電話、メール、SMS、SNSなど、さまざまな方法で私たちに近づいてきます。
被害を防ぐために、特に次のことを覚えておいていただきたいと思います。
- 相手が自分の名前や住所を知っていても、安易に信用しない。
- 警察官や銀行員を名乗る人物からお金を要求されたら、必ず確認する。
- 突然の電話やメールで、大切なお金を動かさない。
- 少しでも不審に感じたら、一人で判断せず、家族や警察などに相談する。
- 家族や身近な人と、最近の詐欺の手口について情報を共有する。
大切な財産を守るためには、日頃からの注意と備えが欠かせません。
そして、詐欺を行う者に対する取締りが一層強化され、被害が少しでも減っていくことを願っています。
この記事を読んでいただいた方には、ぜひご家族や身近な方にも、詐欺の危険性についてお伝えいただければと思います。
一人でも多くの方が詐欺被害に遭わず、安心して生活できることを願っています。

