熊本地震で失業者が増加|収入減少で借金の返済が難しくなった方へ司法書士が解説

本日2026年10月21日の熊本日日新聞に、失業者の増加に関する記事が掲載されていました。

熊本地震の影響により、勤務先の休業や事業の縮小など、仕事や生活に不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

司法書士として特に心配しているのは、突然の失業や収入減少によって、住宅ローンやカードローン、クレジットカードなどの返済が難しくなることです。

これまで真面目に働き、毎月きちんと返済してきた方でも、災害や勤務先の事情によって、生活が大きく変わってしまうことがあります。

今回は、熊本市で債務整理の相談を受けている司法書士の立場から、失業や収入減少によって借金の返済が難しくなった場合の対処法について、分かりやすくご説明します。

1.失業によって借金の返済が難しくなることは誰にでも起こり得ます

毎月安定した収入があることを前提に、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードなどを利用している方は少なくありません。

しかし、突然仕事を失うと、それまで問題なく支払えていた返済が大きな負担になります。

例えば、次のようなケースです

項目 月額
失業前の手取り収入 25万円
失業後の給与収入 0円
家賃 6万円
自動車ローン 3万円
カードローン返済 4万円
食費・光熱費・通信費など 10万円
毎月の支出合計 23万円

失業給付や貯蓄などによって一時的に生活を維持できたとしても、再就職までの期間が長引けば、家計は厳しくなっていきます。

特に災害の場合、自分自身は働くことができても、勤務先の建物や設備が被災したために仕事を続けられなくなることがあります。

借金の問題は、早い段階で相談することで、選択できる解決方法が増える場合があります。

2.借金を返すために新たな借金をすることは避けましょう

失業や収入減少によって返済が難しくなったとき、特に注意していただきたいことがあります。

それは、借金を返済するために、別の金融機関から新たな借金をすることです。

例えば、A社への返済ができないためB社から借り入れ、翌月にはB社への返済のためC社から借りるというケースです。

一時的には返済できたとしても、借金の総額が増え、毎月の返済負担がさらに大きくなるおそれがあります。

また、生活費を補うためにクレジットカードのリボ払いを利用し続けることにも注意が必要です。

リボ払いは毎月の支払額が比較的小さく見える一方、手数料の負担によって残高がなかなか減らない場合があります。

返済が難しくなった場合には、新たな借り入れを重ねる前に、家計全体を見直し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

3.失業したときは、まず公的な支援制度を確認しましょう

借金の返済が苦しくなったからといって、すぐに自己破産を検討しなければならないわけではありません。

まずは、生活を立て直すために利用できる公的支援制度がないか確認しましょう。

① 雇用保険の基本手当(失業給付)

雇用保険に加入していた方は、離職理由や加入期間などの要件を満たせば、基本手当を受給できる場合があります。

勤務先の倒産や解雇などによって離職した場合には、自己都合退職とは異なる取扱いがされることもあります。

詳しくは、管轄のハローワークに確認してください。

② 住居確保給付金

失業や収入減少によって家賃の支払いが難しくなった方は、一定の要件を満たす場合、住居確保給付金を利用できることがあります。

住まいを失う前に、お住まいの自治体の相談窓口などに相談することが重要です。

③ 生活福祉資金貸付制度など

生活費の確保が難しい場合には、社会福祉協議会などで利用できる支援制度について相談することも考えられます。

ただし、貸付制度は原則として返済義務があるため、将来の返済見通しも含めて慎重に検討する必要があります。

④ 災害に関連する支援制度

地震による被害が原因で生活が困難になった場合には、通常の生活支援制度に加え、被災者向けの支援制度を利用できる可能性があります。

被災者生活再建支援金などの対象になるかどうかは、住宅の被害状況や世帯の状況などによって異なります。

4.借金の返済が難しくなった場合の3つの解決方法

公的支援を利用しても借金の返済が難しい場合には、「債務整理」という方法があります。

債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産という3つの方法があります。

方法 主な特徴 向いているケース
任意整理 債権者と交渉して返済条件を見直す 継続的な収入があり、分割返済できる
個人再生 裁判所の手続きで借金を一定の基準に従って減額する 継続的な収入が見込める
自己破産 免責許可により原則として対象となる借金の支払義務を免れる 返済の継続が困難な場合

① 任意整理|毎月の返済額を見直す方法

任意整理は、司法書士や弁護士が法律上認められた範囲で債権者と交渉し、今後の返済条件を見直す方法です。

将来利息のカットや返済期間の調整などについて交渉することがありますが、債権者が必ず応じるわけではありません。

また、任意整理では原則として継続的な返済が必要となるため、失業中で今後の収入の見通しが立たない場合には、適さないこともあります。

② 個人再生|借金を減額して生活再建を目指す方法

個人再生は、裁判所に申し立て、法律で定められた基準に従って借金を減額し、原則3年間(一定の場合は5年間)で返済していく制度です。

住宅ローンについて一定の要件を満たす場合には、自宅を維持しながら手続きを進められる可能性もあります。

ただし、原則として継続的または反復した収入が見込まれることが必要です。失業している場合には、再就職の見通しなども含めて慎重に判断します。

③ 自己破産|借金の返済が困難な場合の生活再建制度

自己破産という言葉に、強い抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。

しかし、自己破産は、返済が困難になった方が経済的に立ち直るために法律で認められている制度です。

裁判所から免責許可を受け、その決定が確定すれば、税金などの非免責債権を除き、原則として借金の支払義務が免除されます。

一方で、一定の財産が処分の対象となる場合があり、保証人がいる借金については保証人への請求が残るなど、注意点もあります。

大切なのは、自己破産を必要以上に恐れることではなく、現在の生活状況に合った方法を検討することです。

5.地震で被災された方は「被災ローン減免制度」も確認してください

地震などの自然災害で被災された方に、特に知っていただきたい制度があります。

それが、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」です。

一般に「被災ローン減免制度」と呼ばれることもあります。

この制度は、自然災害の影響によって住宅ローンや事業性ローンなどの返済が困難になった個人について、一定の要件のもとで債務整理を行うための仕組みです。

通常の自己破産や個人再生とは異なり、一定の財産を手元に残しながら生活再建を図れる場合があります。

また、ガイドラインに基づく債務整理は、原則として個人信用情報への登録を伴わない取扱いとされています。

ただし、対象となる災害、債務、利用要件などの確認が必要であり、誰でも必ず利用できるわけではありません。

地震が原因で住宅ローンなどの返済が難しくなった方は、一般的な債務整理だけでなく、この制度の利用可能性についても確認することをおすすめします。

6.借金の返済が遅れる前に相談することが大切です

債務整理の相談を受けていると、もっと早く相談していただければ、別の解決方法も検討できたのではないかと感じることがあります。

例えば、次のような状況です。

  • 毎月の返済をすると生活費がほとんど残らない
  • 借金の返済のために別の会社から借りている
  • クレジットカードのリボ払い残高が増え続けている
  • 失業して再就職の見通しが立っていない
  • 貯金を取り崩して借金を返済している
  • 家族に借金のことを相談できず、一人で悩んでいる

こうした状況に心当たりがある場合には、返済が完全にできなくなる前に相談していただきたいと思います。

もちろん、相談したからといって、必ず債務整理をしなければならないわけではありません。

収入や支出、借金の総額、家族構成、今後の仕事の見通しなどを整理するだけでも、解決への第一歩になることがあります。

7.司法書士に債務整理を相談すると、どのようなことが分かるのでしょうか?

司法書士への相談では、まず現在の状況を詳しくお聞きします。

  • 借金の総額と借入先
  • 毎月の返済額
  • 現在の収入と生活費
  • 失業や収入減少の理由
  • 再就職の見通し
  • 自宅や自動車などの財産
  • 家族の生活への影響

そのうえで、返済を続けることが現実的なのか、任意整理などによって改善できる可能性があるのか、自己破産や個人再生を検討すべきなのかを整理していきます。

なお、司法書士が代理人として債権者と交渉できる範囲には法律上の制限があり、認定司法書士による裁判外の和解代理は、原則として個別の債権額が140万円以下の民事紛争に限られます。

また、地方裁判所で行う自己破産や個人再生について、司法書士は申立書類の作成などを支援できますが、弁護士のように代理人として手続きを行うことはできません。

事案によっては、弁護士への相談が適切な場合もあります。

8.借金の相談は決して恥ずかしいことではありません

失業によって借金の返済が難しくなることは、誰にでも起こり得る問題です。

特に、地震による失業や収入減少は、本人の努力だけでは防ぐことができません。

それでも、借金の問題を周囲に相談することに抵抗を感じる方は多いと思います。

「もう少し頑張れば何とかなるかもしれない」

「家族に心配をかけたくない」

「司法書士に相談するほどではない」

そう考えているうちに、借金が増えてしまうこともあります。

しかし、借金の問題は、一人で抱え込む必要はありません。

法律には、経済的に困難な状況に陥った方が生活を立て直すための制度が用意されています。

大切なのは、現在の状況を正確に把握し、無理のない解決方法を考えることです。

9.熊本おびやま司法書士事務所からお伝えしたいこと

今回の熊本地震によって、仕事や住まい、日常生活に大きな影響を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

熊本日日新聞で失業者の増加に関する記事を読み、地域で司法書士業務に携わる者として、改めて生活再建を支えることの大切さを感じました。

これまで真面目に働き、借金もきちんと返済してきた方が、突然の災害によって仕事を失い、生活に困窮してしまう。

そのような状況は、誰にでも起こり得ることだと思います。

そして、借金の返済が難しくなったときに最も避けていただきたいのは、誰にも相談できず、無理な借り入れを重ねてしまうことです。

当事務所では、借金に関するご相談について、現在の生活状況や今後の見通しを丁寧にお聞きしながら、法的に可能な解決方法を検討しています。

借金を返済することも大切ですが、それ以上に、日々の生活を守り、将来の生活を立て直すことが重要だと考えています。

失業や収入減少によって借金の返済に不安を感じている方は、問題が深刻になる前に、専門家への相談をご検討ください。

一日も早く、被災された皆様が安心して暮らせる日常を取り戻されることを願っております。

熊本で借金・債務整理のご相談をお考えの方へ

熊本おびやま司法書士事務所
熊本市中央区帯山3丁目35番1号
TEL 096-234-7084

借金の返済、任意整理、自己破産、個人再生などについて、ご事情に応じた解決方法をご案内しています。

  • 失業して返済が難しくなった
  • 毎月の返済額を減らしたい
  • 自己破産をした方がよいのか分からない

このようなお悩みがある方は、まずはご相談ください。

※ご相談内容や債権額などによって、司法書士が対応できる業務の範囲は異なります。

参考情報

  • 熊本日日新聞(2026年10月21日付、失業者の増加に関する報道)
  • 熊本労働局・ハローワーク
  • 自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン