目次
相続登記とは
相続登記が義務化されます
相続登記の費用

相続登記とは

相続登記とは、不動産(土地や建物)の所有者が亡くなったときに、不動産の名義を相続人(配偶者や子など)に変更する手続きをいいます。
相続登記は、相続人が法務局に相続登記の申請をする必要があり、自動的に名義が変更されるわけではありません。

では、相続登記について詳しく説明していきます。

1 相続登記は義務なのか?

相続登記は義務ではありませんでした。でしたというのは、相続登記を義務化する改正法がすでに成立しており、2024年4月28日までには施行されることになっているためです。

改正法施行後は、相続が開始して所有権を取得したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければならず(義務)、期限内に相続登記を完了しない場合には10万円以下の過料の制裁を受けます。

また、過料の制裁以外にも、登記を放置していると、以下のようなデメリットが考えられます。

デメリット① いざ登記をしたいときに登記ができない

相続登記をしていない不動産を売りたいと思っても、相続登記をしないと買主に登記を移すことができません。

亡くなった方が所有していた不動産は、一旦相続人名義に所有権を移して、その後買主名義にする必要があるからです。

しかし、相続人の一人が認知症になっていたり、行方不明になってしまっている場合は遺産分割をすることができず、成年後見人の選任や不在者財産管理人の選任など煩雑な手続きをしなければならなくなります。これらの手続きには当然に時間や費用がかかります。

このように、相続登記を怠っていると、「いざ登記をしたいときに登記ができない」という事になってしまいます。

デメリット② 相続人の範囲か拡大していってしまう

遺産分割協議は相続人全員でしなければなりません(これ重要です!)ので、相続登記を放置している間に第二相続、第三相続(子から孫へ、孫からひ孫へ)が発生すると相続人の範囲がどんどん拡大していってしまいます。当然、相続人の数が増えれば増えるほど、話し合いは難しくなっていきます。

また、相続人の数が増えれば増えるほど、司法書士に依頼した場合の報酬は高額になっていくと思われますので、そういった面でも早めの登記が必要といえます。

2 司法書士に依頼することは必須か?

結論から言うと必須ではありません。世の中の手続きは本人で行うことが原則になっていることが多いと思います(車検や訴訟など)。

しかし、私個人的には司法書士に依頼したほうが良いと思っていますので、以下、メリットとデメリットをあげておきます。

自分自身でしっかり判断して、司法書士に依頼するか、ご自身で申請するか決めればよいと思います。

なお、行政書士は相続登記をすることはできませんので、ご注意ください。

本人自身で申請 司法書士に依頼
メリット 費用が安く済む 早い 確実 正確

複雑な事案にも対応可能

アドバイスの提供を受けることができる

デメリット 時間がかかる

調べるために書籍代や労力が必要

法務局に何度も行く可能性ある

間違った登記を入れてしまう可能性がある(数千万円の損失)

手続が複雑な場合、本人で行うことは困難

司法書士に支払う費用が発生する

もっとも、以下のような場合にはご自分で相続登記をやることは、おすすめできません。

①相続人が兄弟姉妹や甥姪の場合

②婚外子や養子、前妻との間の子がいる場合

③相続不動産の売却を検討されている場合

 

相続登記が義務化されます

これまでであれば、不動産の所有者が亡くなったのちいつでも相続登記(不動産の名義変更)をすることができたのですが、

所有者不明土地問題の解消を目的として法律が改正され、相続登記が義務化され、期限内に必ず申請しなければいけないことになりました。

もっとも、改正法はまだ施行されていないので、現時点においては、相続登記は義務ではありません。

改正法の施行日は「交付日から3年以内」の日に指定される予定です。今回の改正法は令和3年4月28日に交付されたので、遅くとも令和6年4月28日までには施行される予定となっています。

相続登記義務化に関する主な改正点は次の4つです。

① 相続登記の申請義務化

② 相続人申告登記の(仮称)の創設

③ 所有権の登記名義人の氏名または名称、住所の変更の登記の義務づけ

④ 相続等により取得した土地を国庫帰属させられる

では、少し詳しく見ていきたいと思います。

① 相続登記の申請義務化

改正法においては、不動産の相続人に対し「相続が開始して所有権を取得したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければならない」と定め義務を課してします。
つまり、以下の2つの事実を知った時点から3年以内に相続登記をしなければなりません。

ⅰ 被相続人が死亡した事実
ⅱ 自分が不動産を相続して所有者となった事実

つまり、相続の開始を知って、かつ、自身が所有権を取得したと知った日から3年以内に移転の登記を申請しなければなりません。

また、遺産分割で所有権を取得した際は、分割の日から3年以内の登記が義務づけられます。たとえば、遺産分割協議が被相続人の死亡の1年後にまとまった場合、その日から3年以内に登記を申請しないといけません。

もし、正当な理由がないのにも関わらず、この申請を怠った場合、10万円以下の過料を求められます(過料は罰金や科料とは異なり犯罪ではないので、前科はつきません。)。

 

② 相続人申告登記制度の創設

新たに「相続人申告登記制度」が創設されます。これは、不動産を相続した相続人が法務局の登記官に対し「私が不動産の相続人です」と申し出て登記してもらう制度です。先ほど述べたように原則として3年以内に相続登記をしなければなりませんが、遺産分割協議は長期に及ぶことがあることから、事前に申請することを認めた制度です。

相続人申告登記の申請があると、登記官はその不動産の登記に申出人の氏名や住所などの情報を付記します。但し、この相続人申告登記申請は正式な登記申請ではないので、遺産分割などで正式な相続人が確定したら、改めて相続登記をしならないので注意が必要です。

 

③ 所有権の登記名義人の氏名または名称、住所の変更の登記の義務づけ

所有権の登記名義人の氏名や名称、住所に変更が生じた場合は、変更があった日から2年以内に変更登記の申請しなければなりません。

これも所有者不明土地問題を解決するための一つの施策で、土地の所有者が引っ越しを繰り返して現在の住所地や所在が分からなくなることを防ぐのが狙いです。この義務は令和3年4月28日から5年以内に施行される予定です。

 

④ 相続等により取得した土地を国庫帰属させられる

相続登記の義務化にあわせて、不要な土地を、法務大臣(窓口は、各地の法務局)に申請し、承認を得た上で国庫に帰属させる制度が制定されました。

この制度によると、土地の相続人や受遺者は、その土地が不要な場合に一定の要件を満たすと、国に土地を引き取ってもらえる可能性があります。

ただしすべての土地を引き取ってもらえるわけではなく、法務省が公表した調査結果によると、要件を充足する土地は、土地を所有している世帯単位でみると約1%にとどまるようです。

 

相続登記の費用

当事務所に相続登記をご依頼いただいた場合の報酬は、原則66,000円(税込)です。

司法書士の報酬には、遺産分割協議書の作成費や戸籍等の取得費(実費は除く)も含んでいます

 

相続登記にかかる費用一覧

 

司法書士報酬 原則66,000円(税込み)
登録免許税 ※ 固定資産評価額の0.4%
実費 戸籍 1通 450円
除籍・原戸籍 1通 750円
住民票 1通 300円
登記事項証明書 1通 500円

※ 登録免許税とは、登記を行うときにかかる税金のこと。相続税ではありません。

 

報酬が66,000円とならないケース

①被相続人(亡くなれた方)が複数 2人目から44,000円加算
②相続人が兄弟や甥・姪 33,000円加算
③相続人が4人以上 4人目から1人につき11,000円加算
④不動産ごとに相続人が別々 2人目から1人につき33,000円加算
⑤相続登記を申請する法務局が複数 2箇所目から1箇所につき33,000円加算
⑥不動産の筆数が4筆以上 4筆目から5,500円加算
⑦不動産の固定資産評価額が4,000万円を超える場合 2,000万円ごとに11,000円加算

 

 

注意点

・「特別代理人」や「成年後見人」の選任申立書作成のご依頼をいただいた場合等は、別途費用がかかります。

・公正証書遺言にもとづいて相続登記をする場合には、司法書士報酬を1万円減額して、55,000円(税込)とさせていただいています。

・「法定相続情報証明(一覧図)」の取得を、相続登記にあわせてご依頼いただいた場合、プラス11,000円(税込)の費用がかかります。

 

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