今後日本では少子高齢化がますます進み、超少子高齢化社会へと突き進んでいきます。

私たち大人が、自分の子どもや孫たちに少しでも負担をかけないよう「終活(しゅうかつ)をすることは、

子どもたちへの最後の愛情表現の一つといえるのではないでしょうか?

 

しかし、一口に「終活」といっても、個々人に応じて必要な手続きやとるべき対策は様々であり、

最近では以前にはなかったような手続きや対策も登場してきています。

 

以下では、どのような「終活」があるか簡単に説明していきたいと思います。

 

生前にできる対策

① 遺言

② 家族信託

③ 成年後見

④ 事業承継

⑤ 節税対策

⑥ 死後事務委任

 

 

 

生前にできる対策

① 遺言

遺言と聞いて、皆さんはどういうイメージをお持ちでしょうか?

「お金持ちの家の話でしょう」、「うちは家族みんな仲いいから関係ないよ」と言われる方が多いのですが、遺言が必要なのは、お金持ちの家だけに限った話ではありません

また、財産が数百万円の家庭でも、残された子どもたちで「争続」が起き、その後口もきかない関係になってしまったなどはよく聞く話です。

こういった、無用のトラブルを避けるためにも正式な遺言を残しておくことは、私たち親にできる最後の愛情表現と言えるのではないでしょうか?

 

② 家族信託

家族信託(かぞくしんたく)とは、財産管理の一手法で、特定の目的(例えば「自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付」等)に従って、保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる仕組みのことです。

家族信託は、手続きの柔軟性から、最近多くの方が利用するようになっています。

 

③ 成年後見

少子高齢化が進み、自身の老後を子どもたちに看てもらうことが難しくなり(子どもは遠方で仕事しているなど)、

自身の「老い支度」として成年後見制度を利用したいという方が増えていっています。

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が衰えてしまった場合、周囲の方(親族や司法書士など)が成年後見制度を用いて後見人となり、その方の財産を守り、管理する制度です。

成年後見制度には、法定後見と任意後見の2つがあり、

法定後見制度は、精神上の障害により判断能力が欠けてしまった場合、家庭裁判所によって選任された後見人が本人に代わって財産を守り、管理し、本人を法的に支援する制度です。

任意後見制度は、自信が元気で判断能力があるうちに、将来の判断能力低下に備えるための制度で、

事前に任意後見人を選び、公正証書で任意後見契約を結んでおくものです。

 

④ 事業承継

一昔前まで、家業は親から子へ、子から孫へ引き継がれていくということは普通でした。

しかし、超少子高齢化社会の進展により、子がいない、いたとしても遠くの地で勤務しているなどの理由で親から子への事業承継ができなくなっていっています。

子どもへの承継ができない場合、とるべき手段は限られており大きく分けて2種類しかありません。

一つは親族や第三者への承継、もう一つは廃業です。

廃業すると従業員は職を失うことになり、社会的に大きな損失です。

そこで近年、事業を第三者に承継する事業承継型のM&Aが増えていってます。

 

⑤ 節税対策

相続税は原則として基礎控除額以上の財産を保有して亡くなった場合に課税されます。

基礎控除額は3000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算され、

基礎控除額を超える財産を保有している場合に相続税が課税されることになります(その他も様々な控除があります)。

節税対策として代表的なものが、ⅰ110万円以下の贈与(1月1日から12月31日の1年間)、ⅱ相続時精算課税、ⅲ教育資金の贈与税の非課税措置などがあります。

 

死後事務委任

死後事務委任契約とは、本人が第三者(個人、法人を含む。) に対し、亡くなった後の諸手続、事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。

死後に必要な手続きには、親族・知人への連絡、役所への手続きや葬儀、遺品の片づけ、各種サービスの解約など多々あります。

これまでであれば、身内や親族が葬儀から相続手続きについてもやってくれていました。しかし、少子高齢化が進み、家族や身寄りがいない場合、もしくは家族も身体が不自由であったりした場合、このような手続きを任せる人がいないということも多くなってきています。このような場合に備えて、自身の死後の事務手続きを任せる事を生前に依頼しておく方法が、死後事務委任契約です

死後事務委任は、通常は信頼のおける親族、知人等、その他にも司法書士などの専門家に依頼し、契約をする事も出来ます。

前述の任意後見制度を利用する方が、同時に死後事務委任契約も同時に結ばれるケースもあります。