自己破産をする場合のメリット・デメリット
借入金額が膨らんでしまい自己破産の申し立てをする場合、多くの方が気になるのが、
自己破産した場合のメリットとデメリットではないでしょうか?
以下では、自己破産した場合のメリットとデメリットを説明していきます。
1 メリット
2 デメリット
3 よくある勘違い
4 まとめ
1 メリット
①すべての借金がゼロになる。
何といっても自己破産の最大のメリットは借金の帳消しです。
他の債務整理方法である個人再生や任意整理では借金が全額なくなることはありません。
今現在支払いに追われている借金の支払いをする必要がなくなり、執拗な取り立てから解放されることは経済的のみならず、精神的にも大きな負担軽減となります。
②請求がストップする。
自己破産手続きを司法書士などの専門家に正式に依頼すると、受任通知が各債権者へ郵送されます。
この受任通知を各債権者が受け取ると、以降債務者へ直接請求することができなくなります。
③一定額の財産は手元に残すことができる。
自己破産手続きをする場合、多くの方が誤解しているのが「すべての財産・現金はとりあげられてしまう」ということです。
しかし、自己破産手続きが終わった後すべての財産がなくなるのでは、生活の再建ができなくなってしまうので、一定額の財産は手元に残すことが認められています。
例えば、20万円以下の財産は残すことができ(※東京地方裁判所の運用による)、また99万円までの現金も手元に残すことができます。
2 デメリット
①財産が処分される。
先ほどメリットで一定額の財産は手元に残すことができると書きましたが、原則は手持ち財産は処分されることになります。
例えば、持家、自動車、株、貴金属などが代表例です。
特に、所有不動産に居住している場合や先祖代々の不動産の場合は慎重に判断する必要があると思います。
②今後の新たな借り入れが難しくなる。
信用情報機関が運用管理している個人信用情報に「事故」として載ります。
事故として載ると、今後新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ることが難しくなります(期間は5~10年程度といわれています)。
しかし、これはメリットと考えることもできます。
つまり、新たに借り入れができないということは、今後新たに借金が膨らんでいくことがないということです。
生活を再建するためにもこれはメリットと考えた方が良いかもしれません。
③官報に住所・氏名等が掲載される。
自己破産手続きを進めて行くと、「官報」というものに住所・氏名が掲載されるので周囲の方に自己破産をしたことがバレる可能性があります。
もっとも、一般の方がほぼ毎日発行されている官報を隅々までチェックしていることはまれで、官報に掲載されて自己破産をしたことがバレることはまれなことと考えてもよいのではないでしょうか?
④一部職業制限を受けることがある。
自己破産手続き中は宅建士や警備員、生命保険募集人などの職業に就くことができなくなってしまいます。
もっとも、手続きの期間のみ(破産手続き開始決定から免責許可決定まで)ですので、手続きが終了すれば、職業制限を受けることはありません。
⑤ 保証人に迷惑がかかる。
免責許可決定がでて自身の借金がゼロになっても、保証人の債務までゼロになるわけではありません。
保証人は残った借金全額を支払っていく必要があります。
そこで、事前に自己破産をすることを保証人に相談するなどした方がトラブル回避につながるかもしれません。
⑥ 郵便物が転送されてしまう。
管財事件では、財産隠しを防止する目的で郵便物が管財人へ転送されてしまいます。管財人へ転送された郵便物はチェック後本人に渡されるので最終的には手元に郵便物は届くことになります。
3 よくある勘違い
① 選挙権は失われない
よくある勘違いで多いのは、「自己破産をすると選挙権が失われ今後選挙に行けなくなるのではないか?」ということです。
しかし、自己破産と選挙権はまったく関係なく、たとえ自己破産をしたからといって選挙権がはく奪されることはありません。
② 戸籍に傷はつかない
「戸籍や住民票に自己破産の記録が残るのでは?」という勘違いも多いですが、自己破産をしたからといって、これらの書類に記録が残ることはありません。
4 まとめ
メリット | デメリット |
①すべての借金がゼロになる。
②請求がストップする。 ③一定額の財産は手元に残すことができる。 |
①財産が処分される。
②今後の新たな借り入れが難しくなる。 ③官報に住所・氏名等が掲載される。 ④一部職業制限を受けることがある。 ⑤ 保証人に迷惑がかかる。 ⑥ 郵便物が転送されてしまう。 |